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電話のユニバーサルサービスとしての公衆電話の見直し

 電気通信事業法施行規則による設置基準を満たす一般公衆電話には、第一種交付金が交付されていますが、携帯電話の普及などによりその利用は減少しています。
 一方、近年の自然災害の頻発により、災害時に避難所等において利用される災害時用公衆電話の必要性は大きくなっています。
 このため、2021年(令和3年)7月の情報通信審議会答申を踏まえ、2022年(令和4年)4月1日から第一種公衆電話(電話のユニバーサルサービスの一般公衆電話)の設置基準を緩和し、最低限必要な設置台数を削減するとともに、災害時用公衆電話を電話のユニバーサルサービスに追加しました。台数削減により第一種公衆電話に対する交付金を圧縮することで、災害時用公衆電話の維持に必要な費用を補填し安定的な提供の確保を目指します。

<一般公衆電話>

公衆電話を巡る現状

利用が減少する一般公衆電話

 2020年(令和2年)3月末現在、一般公衆電話(緑やグレーの公衆電話)は全国に約14.6万台設置されており、そのうちの約10.9万台が、「戸外における最低限の通信手段」を確保するために電気通信事業法施行規則等により電話のユニバーサルサービスとして設置が求められる「第一種公衆電話」とされています。残りの約3.7万台(2020年度(令和2年度)末時点)は、「第二種公衆電話」として、利用が多く見込まれる場所に利用実態に応じてNTT東日本・西日本により設置されています。
 一般公衆電話は、電話のユニバーサルサービス制度が開始された2002年度(平成14年度)末では、NTT東日本・西日本合計で約58.4万台が設置されていましたが、2020年度(令和2年度)末時点では約14.6万台となり、18年間で約43.9万台もの台数が削減されました。
 しかし、利用状況について見ると、2002年度(平成14年度)の通話回数は約11.8億回あったものが、2020年度(令和2年度)では約0.3億回まで減少しており、1台あたりの通信回数についても、2002年度(平成14年度)は約2,000回あったものが、2020年度(令和2年度)には約200回まで減少しています。
 このように、台数の減少幅以上に通信回数の減少が見られるなど、近年、利用者の一般公衆電話離れが加速する状況となっています。

災害への備えとなる災害時用公衆電話

 災害時に避難所等での通話ニーズに対応するために設置・運用され、通話料及び基本料を無料にした上で提供される公衆電話を、災害時用公衆電話といいます。
 特に、あらかじめ電話回線を開通させた上で端末を保管しておき、災害発生後(避難所開設後)に避難所等の管理者が当該回線に端末を接続し利用可能とするものは「事前設置型」、災害の発生を受けて事後的に設置されるものは「事後設置型」と呼ばれています。
 「事前設置型」の多くは避難所を指定する地方自治体からの要望に基づき、一定の要件を満たす避難所等に設置されてきましたが、災害時の優先接続機能が設定されているほか、停電時の通話も可能であるため、近年の自然災害の頻発に伴い増加傾向にあります。

第一種公衆電話の設置基準緩和

設置基準の緩和と設置場所の義務付け

 電話のユニバーサルサービスである第一種公衆電話については、令和4年4月1日から設置を求める単位面積が変更となり、最低限設置が必要な台数が約8万台から約3万台に削減されます。
 しかし、利用者利便の低下を軽減するために、目につきやすい場所や簡単に立ち入りしやすい場所への設置が併せて義務付けられています。
 今後、公衆電話を設置するNTT東日本・西日本により、地域の実情に配慮した上で、複数年かけて順次撤去が進められていきます。

災害時用公衆電話を電話のユニバーサルサービスに追加

災害時用公衆電話に係る電話のユニバーサルサービスの概要

 2022年(令和4年)4月1日から、以下の基準を満たした災害時用公衆電話がユニバーサルサービスに位置づけられました。 

設置目的 災害時に避難所等における公衆による電話の利用を確保するため
設置場所 自治体からの要請に基づき、避難所や帰宅困難者対策のための一時滞在施設に設置するもの
※ すべての避難所や帰宅困難者対策のための一時滞在施設に設置されているわけではありません。
設置時期 あらかじめ避難所等に設置されており、災害が発生した場合にはすぐに通話が可能となるもの
設置台数 避難所等の収容人数おおむね100名あたりに1台

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